介護保険の申請は「必要になってから」が63%。未認定層の制度理解不足も明らかに

介護保険制度の現状と課題



介護保険制度は、高齢者が住み慣れた地域で安心して生活できるようにするため、2000年に創設された社会全体で介護を支え合う仕組みである。超高齢社会が進む中、この制度は単なる社会保障ではなく、国民にとっての「生活インフラ」としての重要性が増している。しかし、実際に申請方法や相談先などの必要な情報はどれくらい浸透しているのか、疑問が残る。

調査結果の概要

介護マーケティング研究所が実施した調査では、「介護のなかま」に登録されている2,784人を対象に、介護保険制度の利用実態と認識の間にある障壁について明らかにした。

主な調査結果

  1. 要介護認定は「身体状況の変化」をきっかけに申請する傾向

    要介護認定を受けた経験がある1,184名に対して、「要介護認定が必要な状況になることを想定していましたか?」という質問には、750名(63%)が「想定していた」と回答した。しかし、申請のきっかけとして、「身体能力の低下(41%)」や「入院・退院後のサポートのため(35%)」など、介護の必要性が顕在化した段階で申請を意識したという回答が上位を占めた。

  1. 介護保険申請は「大変」が64%。申請手続きの負担が課題

    要介護認定の申請手続きについては、申請経験者の約64%が「とても大変」または「どちらかと言えば大変」と回答。申請書類の作成や認定までにかかる時間が大きな要因となっている。

  1. 未認定者層の多くが制度について詳しく「知らない」

    要介護認定を受けた経験がない1,058名を対象に、「要介護認定の申請方法」「地域包括支援センターの役割」「ケアマネジャーの役割」それぞれの認知度を調査したところ、すべての項目で「知らない」が半数を超えるという、周知が不足している厳しい状況が示された。

  1. 制度の将来や費用負担に不安を感じている人が多数

    自由コメントでは、多くの人が制度そのものに対し、根深い不安を抱えていることが明らかとなった。自己負担額や将来の支払額への不安、制度の持続性への懸念、家族への経済的負担の心配などが挙げられた。

申請手続きの負担と困難

申請手続きが負担と感じられる理由として、「申請書類の作成」や「認定までに要する時間の長さ」が指摘されている。実際の声を見てみると:

  • 「何も知らない状態で相談~利用できるようになるまで色々と大変で時間も掛かった」(54歳 女性)
  • 「何度も区役所へ行き、その後包括センターへ行き、面接を数回。そのあとまた区役所へ……普通に働いていたら無理」(59歳 女性)
  • 「書類作成がかなり大変でした」(56歳 男性)
  • 「書類を市役所でもらう時に、時間がかかり過ぎた事が残念でした!半日かかりました!」(41歳 男性)

これらの声からも、介護と仕事をしながら申請に時間を割かなければならないことが主な負担の原因であることがわかる。

制度の理解不足と不安

未認定者層の多くが制度について詳しく「知らない」状況が見られ、特に「わからないことが多い」ことによる困惑の声が多く挙がっている。

  • 「頼りにしたいとは思っているが、手続きなどよくわからないことが多い。そのうち調べようと思ってはいるが、なかなか取りかかれない。」(44歳 女性)
  • 「介護保険を申請・認定されると、どの様なサービスを受けることができるのか、知識が全然ない。」(73歳 男性)
  • 「わかりにくく、受けたくても躊躇してしまう」(69歳 男性)

このような声からも、制度に関する基礎情報の浸透が不十分であることが窺える。

費用負担と将来への不安

公的介護保険制度についての自由コメントでは、多くの人が制度そのものに対し、根深い不安を抱えていることが明らかとなった。

自己負担額や将来の支払額への不安

  • 「助かる制度ですが、もっと負担が減れば嬉しいです」(49歳 男性)
  • 「結局はお金が掛かるし年々高くなってる」(51歳 女性)
  • 「現役世代の負担が増えているので、もっと負担を減らす方向で進めてほしい」(41歳 男性)

制度の持続性への懸念

  • 「介護保険が充実されてないし、人手不足であり、いずれ崩壊する。受けたくても受けられない」(39歳 男性)
  • 「持続可能な制度設計なのか現役世代の負担が増しているので、この先どうなるのか過剰な介護サービス提供している会社を取り締まってほしい」(41歳 男性)

家族への経済的負担の心配

  • 「とても助かる制度だと思います。ただ、自分がいずれ施設への入所を考えると年金で足りるのか不安があります。子どもたちに迷惑はかけたくないし、お金の不安なく利用して生活出来る制度であってくれたら嬉しいです」(44歳 女性)
  • 「子供や姉妹への負担や迷惑等を考えたら、介護認定を受けて施設入居したほうが本人としては安心出来ます」(78歳 男性)

調査のまとめ

本調査結果を通じて、要介護認定は「必要になってから」という事後的な対応になりやすく、介護と並行して申請書類の作成と認定のための時間と労力を捻出する必要があり、介護を始めた人のさらなる負担となっている。また、申請や認定後の利用方法、サービスの種類などの基礎情報の浸透が不十分であるが故に、利用へのハードルが高いことや、制度の将来性と費用負担への不安が介護中の課題の1つになっている可能性が示された。

公的介護保険制度は、その有効性を事前に周知し、申請~認定までのフローや手続きを簡素化し、制度への不安を払拭することが重要であると考えられる。

調査概要

  • 調査主体: 介護マーケティング研究所by介護ポストセブン
  • 調査方法: インターネットによるアンケート調査
  • 調査対象: 『Jendela Magazine』会員組織『介護のなかま』登録者
  • 調査地域: 全国(国内)
  • 調査期間: 2025年8月15日(金)〜9月2日(火)
  • 有効回答者数: 2,242名
  • 要介護認定を受けた経験あり : 1,184名(53%)
  • 要介護認定を受けた経験なし : 1,058名(47%)

調査データのご利用について

本記事に掲載している調査データは、出典を明記いただければ自由に引用いただけます。

出典:介護保険の申請は「必要になってから」が63%。未認定層の制度理解不足も明らかに(介護マーケティング研究所 by Jendela Magazine)

https://kaigo-postseven.com/220231

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